朝日新聞の「死生観」に関するアンケート「死に備えて準備しておきたいことは?」の回答結果より、今回は延命治療の意思表示について記述します。
身の回り品の整理と処分・・・・61%
延命治療の意思表示・・・・・・52%
脳死での臓器提供の意思表示・・35%
葬式や墓の形式の意思表示・・・31%
遺言状の作成・・・・・・・・・19%
死を知らせたい人のリスト作り・12%
自分史の作成・・・・・・・・・3%
※複数回答「その他・答えない」は省略
出典 資料:朝日新聞「死生観」に関する全国世論調査
・延命治療の意思表示(52%)
延命治療と言う言葉は、皆さまもお聞きになったことがあると思います。
そもそも「延命治療」とは、回復の見込みがない状態で、死を迎えるだけの患者さんに対して人工呼吸器や生命維持装置などを着けることで、1秒でも長く命を維持することです。
回復することがないため、生命維持しか出来ない状態のことを言います。
病気等で、回復の見込みが無い状態(末期症状)になった時、以下3つの考え方があります。
1.「可能な限り治療(回復はしない)を継続してほしい」(延命治療)
2.「回復の見込みが無ければ延命措置を希望しない」(尊厳死)
3.「延命措置を希望しない。(書面を準備)」(尊厳死宣言公正証書等)
医師は、目の前の患者さんを1秒でも長く延命させることが使命であり、それが仕事です。
医療技術の進歩により、意識がない患者さんが回復する見込みもないまま何年も延命する事例もあります。
そして現在日本では、尊厳死も安楽死も法制化されていないため認められていません。
医師からしたら延命措置をやめること(尊厳死や安楽死)は自分自身が殺人罪に問われてしまう可能性も少なからずありえます。
ただ実際の現場では、ご本人やご家族の意思決定を反映して認めてくれる事例も増えてきているようです。
人によっては、「どんな状態でも延命して欲しい」と望む方もいらっしゃいます。近くにいる家族もそう望み延命措置を続ける場合もあります。また逆に「回復の見込みがなく意識もないのであれば、延命措置をして欲しくない」「延命措置は家族の負担になるからしないでもらいたい」と望む方もいらっしゃいます。
もしご自身が、(意識も無く回復の見込みがない末期状態で)延命措置をして欲しくないという希望があるのなら、その旨の意思表示を“文書”で記しておくことが大事です。
エンディングノートに記載するだけではなく、公証役場にて「尊厳死宣言公正証書」を作成することが大事だと思われます。
エンディングノートは“法的拘束力”がなく、あくまでもただのノートです。ノートの存在をご家族が知らなければ意味がないものです。「尊厳死宣言公証証書」においては、公証人の立会いのもとで公証人がその意思を聞き取り内容を公正証書に残してくれます。
まとめ
延命治療や尊厳死は、ご自身だけの問題ではありません。残されるご家族にとっても重要な問題です。
普段からご家族とお話ししておくことが大事だと感じます。